酔いどれんぬの簡単レシピ
第25回「酒蒸しムール貝の桜餡仕立て」
春と言えば桜の季節、お花見の季節です。年々桜の開花が早くなり、関東では昨年同様お花見の宴会ができないまま季節が終わってしまいました。しかしながら東北の桜はこれからが季節です。新型コロナ感染に注意しながら、桜を愛でつつお酒を楽しみたいですね。お花見にも、出会いと別れの季節にも似合うお酒をご紹介させていただきます、「碧友(へきゆう) 浦霞 大吟醸ブレンド」です。
宮城県の港町である塩釜に蔵を構える株式会社佐浦さんは1724年創業であり、鑑評会などでの受賞歴も数多い、宮城県を代表する蔵の一つです。地元の米を使い、地元の食文化によりそう酒を確かな技術で醸すお酒は、県内外問わず食中酒として好評を博してきました。
今回ご紹介いたしますお酒の名前「碧友」とは清酒の異名の一つでした。また、「光り輝く美しい石」を表す「碧」と「手と手を取り合う様子」が字の成り立ちである「友」からできた言葉であることから、「手と手を取り合い、困難を乗り越え、親しい友と、ゆっくり酌みしたい酒」との思いを込めて命名されたそうです。鮮やかな青のラベルは、嵐の、曇天の後の清々しい紺碧の空を感じさせます。
凛とした美しいラベルに連想されるように、優美な香りがありつつ、蔵内で一年熟成されたことによるまろやかさ、穏やかさを感じる味わいです。よく冷やし、薄手のグラスで、白身魚のお刺身や山菜の天ぷらなどあっさりとした味わいのお料理とあわせるのが良いと思います。
今月ご紹介させていただくレシピは、海の街の蔵のお酒ということで魚介を使ったものとなります。宮城が位置する三陸は牡蠣やホタテだけではなく、ムール貝の一大産地としても有名なことをご存知でしょうか。ムール貝はビタミンB、ミネラル、鉄分が豊富で美容と健康にもよい食材です。今回はそちらと桜の花を使った春らしい一皿です。
<材料>(2~4人分)
ムール貝 6枚
日本酒 100cc
塩 少々
【桜餡の材料】
水 100cc
桜の花の塩漬け 8個
片栗粉 小匙1杯
<作り方>
1.桜の花を水で軽く塩抜きしておきます。餡に散らす桜2個分は軸をとります。
2.鍋にムール貝、日本酒、塩を入れ、蓋をして火にかけます。湯気がでてきたらそのまま3分蒸し、蓋をしたまま10分蒸らします。蓋を開け、ムール貝をとりだします。
3.鍋の煮汁に水を加え、火にかけます。塩で味を調えたら水溶き片栗粉を加え、とろみをつけます。
4.火を止め、桜の花を加えます。
5.器にムール貝を盛り付け、上からたっぷりと餡をかけ、桜の花びらをきれいに散らします。
<ワンポイントアドバイス>
1.ムール貝の代わりにはまぐり、あさりなどでも美味しいですよ。
2.餡かけご飯や餡かけ蕎麦などにすればランチや夜食にもお勧めです。
◆稲浪理恵さんプロフィール
全国の蔵を駆け巡り年間一石の日本酒を飲む“酔いどれんぬ”こと稲浪理恵さんは、日本酒愛好家や献立検索女子に崇められるパワーブロガー。日本全国を旅し、地元食材を買い込み研鑽を重ねた独自のレシピを、SNSだけでなくリアルな日本酒の会でも提案されています。
◆過去のレシピ
第24回 鯖缶で簡単、そば粉タコス
第23回 うるいの自家製酒粕マヨネーズがけ
第22回 数の子のクリームチーズ和え
第21回 はんぺんで簡単ヘルシー、甘くない伊達巻
第20回 鶏肉と舞茸の焼きびたし
第19回 かぼちゃとサーモンのガトーインビジブル
第18回 イタリア風焼きナス
第17回 冷やしあんかけ もろこし豆腐
第16回 さば缶とタマネギのアチャール
第15回 牛乳ざる豆腐の冷ややっこ
第14回 豆苗とお揚げのじゃこ煮
第13回 ホタルイカと野菜のピクルス
第12回 ブルーチーズと酒かすの一口タルト
第11回 菜の花と生ハムの昆布じめ
第10回 ホタテとイチゴのカルパッチョ
第9回 牡蠣の酒蒸し ポン酢のジュレがけ
第8回 手羽元のコンフィ
第7回 鮭の秋色餡かけ
第6回 鶏むね肉のガランティーヌ 酒粕マスタードソース
第5回 冷やしおでん
第4回 夏野菜と海老の寒天寄せ
題3回 鮭のソテーリンゴの入ったラヴィゴットソースで
第2回 鰹のタイ風カルパッチョ
第1回 タコとモッツァレラチーズの大葉ジェノベーゼ