酔いどれんぬの簡単レシピ
第6回「鶏むね肉のガランティーヌ 酒粕マスタードソース」
初鰹の時期から季節はいつの間にか戻り鰹の季節に。脂ののった戻り鰹のような体型になってしまったそこのアナタ!……まあ、それは私のことなのですが、寒鰤のような脂ののり具合になる前に、身を引き締めましょう。今月は晩酌のつまみとして美味しくかつもカロリー控えめなダイエット向けのレシピをご紹介させていただきます。そして、日本酒はそろそろ出てきます旬のきのこや秋鮭、秋刀魚にもぴったりのお酒を紹介させていただきます。大七酒造さんの純米生もとです。
名峰安達太良山麓のある福島二本松市には日本三井戸の一つ「日影の井戸」があります。その地の恵みである水と米の美味しさを、人の手をかけ、日本酒に造りあげていらっしゃるのが、大七酒造さんです。
大七さんと言えば「超扁平精米」。通常の精米では厚みの部分では酒造りにおいて雑味となる不要部分が多く残り、長さの部分では有用なデンプンが削られすぎてしまうという欠点がありました。それを克服するために編み出されたのがこの精米方法。雑味をとり、旨味を残す方法で精米されたお米は、伝統の生酛造りで醸されます。代々の人の手、その地の空気で育まれてきた“微生物の森”で丁寧に造られたお酒は、さらに蔵で熟成されてから出荷されます。それが今回ご紹介させていただきますお酒です。
香り、酸味、甘みのバランスが良いので冷やしても美味しいのですが、ぜひお米の旨味を感じていただきたいのでお燗酒がお勧めです。注ぎますと盃に麦わら、稲穂色がとろっと広がります。ふわっと米の甘み、その後、秋を思わせる黄色い花の印象、菊、マリーゴールドが浮かびます。あー、これは秋の味覚、銀杏もいいですし、秋刀魚の塩焼きも食べたい!っと食を呼びすぎる酒なのですが、だ、ダイエット。今回はヘルシーでありつつ、おもてなしにも使える鶏むね肉のガランティーヌのレシピです。
鶏むね肉はサラダチキン等で最近人気を博しており、低カロリー高たんぱくで知られております。そこにソースとして合わせるのが酒粕。酒粕にはレジスタントプロテインが含まれ、コレステロール低下、肥満防止に効能があるといわれております。さらに、肝機能をたかめるアデノシルメチニンが含まれつつ、お肌にいいビタミン、アミノ酸が豊富でまさに食べる美容液。大七さんの生もと純米大吟醸酒粕は熟成されておりとろとろでペースト状、板粕と異なり、そのままスプーンですくって料理に使える優れものです。
<材料>(2人分)
鶏むね肉 1枚
鶏ひき肉 50g
ニンジン 1/3本
インゲン 2本
日本酒 大匙2杯
卵黄 1個
塩、黒胡椒 少々
酒粕 大匙2杯
粒マスタード 大匙1杯
<作り方>
1.むね肉に塩を少々ふり、日本酒をふりかけ冷蔵庫で一晩寝かせます。翌日、麺棒などでたたき、平に広げます。
2.ニンジンの皮をむき、さいの目切りにします。いんげんも同様の大きさに切り、鍋に沸かした湯で2分茹でます。ボウルにひき肉を入れ、野菜を加え、卵黄、片栗粉、塩、と混ぜます。
3.①のむね肉の上に②をのせ、巻きずしの要領でしっかりとアルミホイルで巻きます。空気が入らないように、筒状できっちり二重に巻き、両端はねじります。鍋又はフライパンに水を入れ、沸騰させたら加え、蓋をし、煮立たせない程度の中弱火で20分程煮ます。蓋をしたまま、さらに10分蒸らします。
4.粗熱が取れたら、冷蔵庫でしっかり1時間以上冷やし、切り分けます。ボウルに酒粕とマスタードを入れ、混ぜ合わせます。
5.ガランティーヌを食べやすい大きさに切り器に盛り付け、酒粕マスタードソースを、おしゃれなドット状に散らし、出来上がり。
<ワンポイントアドバイス>
1.ニンジン、インゲンのほかにアスパラやパプリカを入れても入れても彩りがきれいです。
2.お子様向けには酒粕ソースではなく、トマトを使ったソースやトマトケチャップでも代用できます。クリームソースもお勧めです。
◆稲浪理恵さんプロフィール
全国の蔵を駆け巡り年間一石の日本酒を飲む“酔いどれんぬ”こと稲浪理恵さんは、日本酒愛好家や献立検索女子に崇められるパワーブロガー。日本全国を旅し、地元食材を買い込み研鑽を重ねた独自のレシピを、SNSだけでなくリアルな日本酒の会でも提案されています。