「自分のワインを飲んだ人がほんのひと時でも幸せを感じてくれる、 その一瞬を信じてワインを造っている。」 |
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その昔、シシリア王国の男爵家であったコルナッキァ家は 北の守りのため、現在の領地に移り住みました。コルナッ キァ家はアドリア海に面するアブルッツォ州の海岸域にあ り、北隣のマルケ州とのほぼ州境に600年以上続いてい る生産者です。バローネさんのお父様の代まではセカンド ビジネスとしてバルク売りのワインを造っていました。こ こアブルッツォのワインは、色濃くコクもあり、しかし非 常にニュートラルな味わいなので、ピエモンテやトスカー ナのブレンド用として重宝されていたそうです。そして、 バローネさんが28才のときそれまでの弁護士の仕事をや めて、醸造学の勉強をはじめワイン造りに専念することに なりました。 | |
当時はまだ誰もこの地域のワインには注目せず無名でしたが、彼はボトルでワインを売り出し、 着実に素晴らしいワインを造り続けました。彼の造るモンテプルチァーノダブルッツォは、ヴィ ニタリーに初めて出品されたアブルッツォ州のワインです。現在のアブルッツォ州のワインやモ ンテプルチァーノの隆盛は彼の努力の賜物といってもおかしくないのかもしれません。 |
畑や新しくできたセラーの見学のあと試飲。いつもの彼の味と対面。彼のつくるワインは、その人柄 のように穏やかで、強く、たくましく、優しく、滋味深い。派手さはないけれど飲み飽きのしない、そし て優しさに溢れたワインです。土着の品種の特性を生かし、その土地を感じさせてくれる自然な味わ いのワインでありたい。そういったポリシーが感じられます。ご一緒した食事の席で、「自分の造っ たワインをいろいろな人種、文化の人が飲むだろうけれど、いつどんな人が飲んでも、そしてそれが ほんの一瞬でも、幸せを感じてもらいたい。苦労も多く大変な仕事だけれど、幸せな気持ちになって くれる人がいることを信じて、ワインを造りつづけている。」と、話してくださいました。私も、そうい った気持ちを忘れずワインに関わっていきたいと思いました。 |