ヴェネト州



リゲッティさんにお目にかかる前にいろいろなエピソード
を聞いていたので、私のリゲッティさんイメージはクシャ
クシャのねぐせ頭にパジャマ姿。そんなはずはないのです
が、なぜかパジャマです。さて、実際のリゲッティさんは
といえば、飾り気のないストライプのシャツ、小柄で勤勉
そう、人のよい感じ、眼鏡の奥の優しい瞳、高い鼻。そし
て何処かちょっとユーモラスな雰囲気が・・・失礼なこと
ばかり書いてしまいましたが、彼はとても素敵なアマロー
ネを造るヴァルポリチェッラのワイン生産者です。
お宅を訪問すると、早速畑を見渡せる高台へ。ヴァルポリチェッラ・クラシコの畑は
ガルダ湖と山に囲まれた地域にあり、ネグラ、マラノ、フマーネの三つの地区に分か
れていて、彼の家はマラノにあります。葡萄栽培者の畑の所有面積は0.5〜2ha
とモーゼル以上に小さく、葡萄売り農家がほとんどで、大きな生産者が5〜6社、そ
の他に極小さな個人生産者が少しあるとのことでした。彼の場合、自家葡萄は25%、
契約農家からの葡萄が75%、契約農家数は約80件です。
  
さて、ワインです。彼のヴァルポリチェッラ・クラシコ・スペリオーレ・カンポリエ
ティには、リパッソの表示がありませんが、実際にはリパッソです。リパッソとは『元
に戻す』という意味でアマローネの樽の澱の上に、ふつうのヴァルポリチェッラを入
れ、さらに2週間あまり発酵させるという造り方です。この造り方は広く行われている
のですが、ある生産者が商標登録してしまったため、他の生産者は使用ができず、や
むなく似た名前をつけたりしているらしいのです。
しかし、彼の場合はややこしい訴訟問題などに関わりたくないという気持ちと、あえ
てリパッソと謳わなくとも自分のワインを気に入って飲んでもらえればいいとの考え
から全く表示をしていません。こんなところも、商売気がなく、マイペースで飄々とし
たリゲッティさんらしいではありませんか。
彼のワインの中で特に評価の高いのがアマローネです。アマローネ用の葡萄は健康で
あることが第一番の条件とのことで、アマローネ用のものから摘み取り作業が始まり
ます。9月中旬に摘み取り予定とのこと。契約農家からは干し終わった状態の葡萄を
買い取るそうです。アマローネのベッドルーム(葡萄を箱に入れて何ヶ月間か陰干し、
糖度をあげます。)には新しい木箱がたくさん積まれていて、もうすぐ始まる摘みと
りまで、雨など降らず素晴らしい収穫になりますようにと祈らずに入られませんでし
た。

試飲をかねた昼食会のあと、女性陣にはリゲッティさんから真紅のバラのプレゼント。
慣れない西洋式の挨拶で(あの頬と頬を寄せるやつです。)私はリゲッティさんに頭突
きしてしまいました。眼鏡は壊れませんでしたか?ごめんなさい、リゲッティさん。
  

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