ワインを飲み始めたころ、甘く柔らかな酸のオーストラリア産のリースリングや、

ポルトガル産のロゼワインをたくさん飲んでいました。年を重ねるごとに、甘口の

ものから辛口へ、軽いものから重いものへと好みも変り、ドイツワインを自分で開

けて飲むという事はほとんど無くなりました。多くの人たちが考えるように、ドイ

ツワインは甘く食事には合わないのではないか、ドイツワインは初心者向けの味わ

いなのではないか、そんなふうな先入観を持っていました。ワインに携わるものと

して、とても恥ずかしいことなのですが・・・・。

 今回のドイツの蔵元訪問では試飲するほとんどがリースリングで、飲み飽きして

しまうのではないかなどと心配していましたが、それは見事に覆されました。最初

に訪問したワグナーさんのワインでは、豊かなミネラルと美しい酸に魅せられ、シ

ェーンレバーさんのワインでは食事との相性の良さを、シェーファーさんのワイン

ではエレガンスを、ハークさんやクロスターエーバーバッハのワインでは力強さや

熟成を教えられました。美しい酸はリースリングの魅力で、清涼感のある若々しい

ものではもちろん、極甘口のアイスヴァインや、トロッケンベーレンアウスレーゼ

でもその甘さを際立たせ、支える大切なものです。そして、テロワールや造り手の

キャラクターにより、それぞれが魅力的で、個性豊かなものとなっています。

モーゼルの畑の凄さ、伝統を守ることの素晴らしさ、仕事への誠実な姿勢、家族の

あり方、そして、ドイツワインの美味しさ。本当に皆さんとお目にかかることがで

きてよかったと感じています。 そして、それを日本の皆さんに伝えることが使命

(大袈裟ですね)だと思っています。さぁ、ドイツワインで乾杯しましょう!!

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