英国のビクトリア女王の名を冠したこの葡萄園は、ホッホ ハイムから東へ3kmほどのマイン河畔の丘の中腹にあり ます。1850年晩夏に、プロシャのヴィルヘルム王子夫妻を 訪問されたビクトリア女王を、その風味でとりこにしてし まったことから、女王の名をつけることを許されました。 また、その日を記念し、1854年に、葡萄園中央に華麗な英国 ゴシック様式の記念碑が建てられました。残念ながら今回 の訪問では、天候と時間の関係で見学ができませんでした が、かわりに素敵なテーステイングルームで、奥様お手製 のたくさんの美味しいパンをいただきながら、ゆっくりと テースティングすることができました。 | |
テースティングというよりは、おいしいワインを心ゆくまで楽しんだといったほうが正しい かもしれません。ワイングートに伺うと、ご夫妻は笑顔で出迎えてくださり、ご挨拶もそこそ こに、早速地下のワインセラーへ。 狭くて古い階段を降りると、これまた古い石組みの壁の中に樽や近代的なタンクが並んでい ます。奥には年代を感じるシャッツカマーがあり、このワイングートの歴史を感じます。瓶 詰めされたワインが並ぶセラーの壁や天井には鍾乳石の赤ちゃんが一面を覆っていました。 まるで芋虫が垂れ下がっているようでした。手で触るとプニュッと柔らかかったのですが、 このセラーは床がコンクリートで固められていないため湿度が高いのでこのようになってい るとのこと。「一億年もすればここは鍾乳洞だよ。」と笑っていらっしゃいました。フラン スでもドイツでもこんなふうなセラーの壁は始めてみました。 テースティングは1999年のカビネットから始まり、締めくくりは1983年のベーレンアウスレ ーゼでした。17年という年月を重ねても、花や蜜の華やかな香りがありかすかにスパイシィ ーで、酸も生き生きとしボディもあり、とても魅力的なあじわいで、人もこんなふうに年を 重ねなくては・・・・などと思ってしまいます。ビクトリア女王の数々のエピソードを面白おか しく話してくださった奥様、ラインガウのワインの魅力や地理的な特徴を几帳面に話してく ださったご主人。美しいボトルと共に思い出深く、忘れられないワインとなりました。 |
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