初めてのヨーロッパへの長旅で、 空港から直接バスに詰め込まれ、 漸く辿り着いたのがシャブリでし た。シャブリは周りをぐるりと葡 萄畑に囲まれた、静かな小さい村 で、午後7を時過ぎだというのに まだ明るく、初めて見る街並みや 葡萄畑に疲れも忘れてしまいまし た。ホテルは村にひとつしかなく (日本でいうプチホテルの規模で すがレストランは3つ星だとか、 それも最近になって、世界的に有 名なシャブリの村にきちんとした ホテルが無いのは如何なものかと いうことで、シャブリの生産者が 共同で出資してつくったそうです。) |
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なが〜い旅路の果てのディナーは、迫力のフルコースで、最後に 出てきたチーズのワゴンは、目も眩む?ばかりでした。(疲労困 憊の上、チーズの苦手な私は強烈な匂いに倒れそうなのでした。) 疲れからか、興奮からか、翌朝は早くに目が覚め、朝もや煙るシ ャブリの村を散歩しました。村のメインストリートには何軒かの 店があり、そこを抜けると、シャブリの門がありました。あまり 特徴の無い小さな街並みの中で、世界に誇る白ワインの産地は、 ここだと言っているかのようでした。初めて訪れたこの村は、と ても好感が持て、Chablisへの特別な思い入れが生まれた のでした。 |
ジルベール・ピク家
最初の訪問ということもあり、少々緊張していたのですが、 長身でハンサムなピクさんは笑顔で登場。和やかに挨拶を交 わし、皆打ち解けたムードになりました。ご自宅から歩いて 少しのところにセラーがあり、圧搾機や清潔なタンクを見せ ていただきました。ひととおりお話をうかがった中で印象的 だったのは、シャブリの澱。澱引きしたものを大量生産のワ イン生産者が買っていって、醸造に使うとのこと。まるで、 だし。もちろん、それだけピクさんのワインが、風味豊かで 素晴らしいということでしょうが。畑から出た化石もたくさ ん見せていただき、知識としてしかなかったキンメリジャン を目の当たりにすることができました。実際、畑では牡蠣の 化石はたくさん転がっていて、白っぽい土壌はとても印象的 でした。畑では手作業で剪定をされているのお父様にもお目 にかかることができました。よく手入れの行き届いた畑は美 しく、この畑にしてあのワインありと思いました。 | |
ジャン・ポール・ドロワン家
朝の散歩で見たシャブリの門の真正面にドメーヌ ドロワンは ありました。1698年から続く名門らしく立派なお屋敷で、 セラーは地下にあり、セラー入り口には使用前の新樽が積まれ ていて、樽の生産地にもこだわりを持っているとの説明があり ました。セラー内ではヴァッカスの像や、長い熟成を経たワイ ンの瓶などが、300年の歴史を感じさせてくれました。普段 自分ではなかなか開けることのないグランクリュを中心に試飲。 その美しさ、力強さにすっかり魅せられてしまいました。セラ ーでの試飲後、小高い山の上から、シャブリの畑を見学。見渡 す限りの畑はとても美しく、日当たりのよい斜面が特級畑との ことでした。ドロワンさんは、「人口2300人のこの村で、 世界に誇るシャブリ2300万本が造られている。」と誇らし げに話してくださったのがとても印象的でした。 |