酔いどれんぬの簡単レシピ
第26回「牛肉アスパラ巻の中華仕立て」
原稿を書いている今、来年が、来月が、いえ明日がどうなっているか見えない状況です。この原稿が掲載される時には、一体どうなっているのでしょうか…。
そうはいいましても、日本には美味しい食が、日本酒があることは確かで、美味しく食べて呑んで健やかに過ごすよりありませんね。今月は地域に根差した酒造りをされている数馬酒造さんの、地元の食を応援されているお酒をご紹介させていただきます。「竹葉 能登牛純米」です。
数馬酒造さんは、石川県能登半島に蔵を構えます。その数馬酒造さんが2014年に地元の若手農家さんと共に耕作放棄地を開墾してお米を作る取り組みを始められ、現在までに東京ドーム5個分の放棄地を水田へと生まれ変わらせました。そしてこれを機に、循環型の日本酒を造ることとなりました。
稲作からでたもみ殻を牛の餌とし、排泄物から堆肥を作り、それを活用し稲を育てる。出来上がった米からお酒を造り、その行程ででた米粉をまた牛の餌にする。こうして育てられた能登牛に合うように造られたお酒が今回ご紹介いたします能登牛純米です。
濃厚で味わい深い能登牛にあうように生酛(きもと)仕込みで造られたお酒はほんのり稲穂色に色づき、旨味を感じる酸と厚みと広がりのある味わいです。グラスなら口が広いもの、磁器や陶器でいただくのがお勧めです。温度は常温からぬる燗、熱燗も美味しいと思います。
力強さやスパイス感もありますので、しっかりした味付けのお料理がよいと思い、牛肉のアスパラ巻き、中華仕立てといたしました。今が旬でビタミン豊富なアスパラと牛肉のたんぱく質で季節の変わり目に身体を調えていきましょう。
<材料>(2人分)
牛肉(スライス) 100g
アスパラ 3本
日本酒 大匙3杯
醬油 大匙1杯
味醂 大匙1杯
オイスターソース 大匙1杯
ごま油 小匙1杯
片栗粉 大匙1杯
塩、粉山椒 少々
<作り方>
1.アスパラの下部をピーラーで剥き、鍋に湯を沸かして1分程ゆでます。ざるにあげて冷まし、半分に切ります。
2.牛肉をまないたの上に広げ、塩、粉山椒をします。アスパラを置き、くるくると巻きます。上から片栗粉をまんべんなくまぶします。
3.フライパンを火にかけ、温まったら油をひき、肉巻きの閉じ口を下にしてならべます。時折転がしながらまんべんなく焼き色をつけます。酒、醬油、味醂、オイスターソースをボウルで混ぜ合わせてからフライパンに加えます。
4.全体を絡めながら焼き、ふつふつとしてきたら粉山椒を加え、火を止めて完成です。
<ワンポイントアドバイス>
1.粉山椒ではなく黒胡椒でも美味しいですよ。
2.牛肉がなければ豚肉、ラム肉でも美味しく作れます。
◆稲浪理恵さんプロフィール
全国の蔵を駆け巡り年間一石の日本酒を飲む“酔いどれんぬ”こと稲浪理恵さんは、日本酒愛好家や献立検索女子に崇められるパワーブロガー。日本全国を旅し、地元食材を買い込み研鑽を重ねた独自のレシピを、SNSだけでなくリアルな日本酒の会でも提案されています。
◆過去のレシピ
第25回 酒蒸しムール貝の桜餡仕立て
第24回 鯖缶で簡単、そば粉タコス
第23回 うるいの自家製酒粕マヨネーズがけ
第22回 数の子のクリームチーズ和え
第21回 はんぺんで簡単ヘルシー、甘くない伊達巻
第20回 鶏肉と舞茸の焼きびたし
第19回 かぼちゃとサーモンのガトーインビジブル
第18回 イタリア風焼きナス
第17回 冷やしあんかけ もろこし豆腐
第16回 さば缶とタマネギのアチャール
第15回 牛乳ざる豆腐の冷ややっこ
第14回 豆苗とお揚げのじゃこ煮
第13回 ホタルイカと野菜のピクルス
第12回 ブルーチーズと酒かすの一口タルト
第11回 菜の花と生ハムの昆布じめ
第10回 ホタテとイチゴのカルパッチョ
第9回 牡蠣の酒蒸し ポン酢のジュレがけ
第8回 手羽元のコンフィ
第7回 鮭の秋色餡かけ
第6回 鶏むね肉のガランティーヌ 酒粕マスタードソース
第5回 冷やしおでん
第4回 夏野菜と海老の寒天寄せ
題3回 鮭のソテーリンゴの入ったラヴィゴットソースで
第2回 鰹のタイ風カルパッチョ
第1回 タコとモッツァレラチーズの大葉ジェノベーゼ