酔いどれんぬの簡単レシピ
第10回「ホタテとイチゴのカルパッチョ」
あっという間に令和元年が終わり令和2年となってしまいましたが、酒造年度といたしましては、2020年6月までが令和元年ですので、まだまだ元年となります。お酒好きのかたでは、平成最後の年に、平成元年に造られた熟成酒を飲んで楽しむ方もおられました。令和元年は一度きり。令和最後の年に呑む為にも今年造られるお酒を買って自家熟成させておくことを個人的にお勧めいたします。日本酒は熱や日光に弱いので、熟成させる際はワインセラーや、新聞紙に包んで冷暗所で保存するのがお勧めです。
兎にも角にも、今月はそんな記念すべき令和元年に醸された、年の初めに呑むのに最適な煌びやかなお酒を紹介させていただきます。「雪の茅舎純米吟醸生酒」です。
創業明治35年(1902年)の齋彌酒造店さんは自然豊かな秋田県由利本荘市(かつての秋田県山内(さんない)地方)に蔵を構えます。その酒造りは米造りから始まり、地元農家さんと契約し、蔵人自らが酒造好適米「秋田酒こまち」を栽培しています。昨年、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演された高橋藤一杜氏(山内(さんない)杜氏)のお酒は、「三(さん)無い(ない)造り」で知られています。一般的な酒造りには行われる作業のうち、「櫂入れをしない」、「濾過をしない」、「加水をしない」という造り方です。「お酒は人ではなく、微生物が醸す」という考え方に基づき、余計な手を加えない酒造りを行っており、微生物の環境を大切にするため、薬剤を使用した蔵内殺菌を行っていません。酒蔵としてオーガニック認定を受けたのは日本で初めてです。
自家培養の酵母、地元の酒こまちで醸された今回のお酒は、由利本荘という土地を、その風景を感じさせてくれます。苺のような甘い香りの中にふくよかな米の旨味、雪解け水を思わせる透明感溢れる味わいが水のよさを感じさせます。原酒ですが16度とアルコール度数も低めで、さらりといただけ、ついつい杯がすすみ呑みすぎてしまうのが唯一の欠点でしょうか。よく冷やし、ワイングラス又は縁が薄いガラスで膨らみがあるものでいただくと、この美しいお酒の個性を堪能することができるかと思います。
そんなお酒に合わせたいのが今回のレシピ、ホタテとイチゴのカルパッチョです。イチゴの香りとホタテの甘味がお酒をひきたててくれると思います。イチゴはビタミンCが豊富ですので風邪予防にもなり、ホタテはタウリンが豊富なので肝臓にもよく、また低カロリーなので正月太り解消にも一役かってくれる一品です。
<材料>(2人分)
刺身用のホタテ 5枚
イチゴ 3個
EXヴァージンオリーブオイル 大匙1杯
白ワインビネガー 小匙1杯
塩 少々
ミント 少々
<作り方>
1.イチゴを洗ってへたをとり、1個は小さなさいの目切りにし、2個はミキサーにオイル、ビネガー、塩とともにかけます。
2.ホタテを薄切りにして皿に盛り付けたら1のソースをかけ、イチゴを散らし、ミントをあしらって完成。
<ワンポイントアドバイス>
1.ホタテだけではなく、タイやヒラメといった白身魚を用いても美味しいですよ。
2.ソースを多めに作った場合は、煮沸消毒した瓶に入れ、冷蔵庫で1週間ほど保存可能です。
◆稲浪理恵さんプロフィール
全国の蔵を駆け巡り年間一石の日本酒を飲む“酔いどれんぬ”こと稲浪理恵さんは、日本酒愛好家や献立検索女子に崇められるパワーブロガー。日本全国を旅し、地元食材を買い込み研鑽を重ねた独自のレシピを、SNSだけでなくリアルな日本酒の会でも提案されています。