入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第12回「鰯のフリット」
暑かったり涼しかったりと梅雨の時期はかなり温度差もあり、体調を崩される方も多いかと思います。そんなときこそ、体にやさしいお燗、ぜひ試してみてください。今回は広島の「龍勢 純米吟醸」を取り上げます。ファンの間では“白龍勢”と呼ばれているお酒です。吟醸とあるからといって、メロンやバナナの香りはなく、梅酒にみられるような穏やかな熟成と酸を思わせる香りがします。味わいは生もと造りならでわのしっかりとした旨みとキレがある通好みのいぶし銀のようなお酒です。速醸酵母などは一切添加されない今では数少ない蔵付酵母使用です。
さて、そんなお酒に合わせるのは食べごろが始まった鰯のフリットです。フリットにかかわらず、このお酒は炒め物や脂の多い肉料理、あるいはボフォールやコンテなどのハードタイプのチーズなどと本当によく合います。料理と一緒に口に含むめば、非常にまろやかなもうひとつの料理が出来上がるかのような楽しみがあります。どうぞぬる燗あたりでゆるゆるとどうぞ。
龍勢のある広島県竹原市は、瀬戸内に面していて、新鮮な魚が豊富です。以前行った時に食べた片口鰯の天ぷらと龍勢の食べ合わせが忘れられず、今回手に入りやすい真鰯でご紹介します。包丁を一切使わず、キッチン鋏でチョキチョキと捌きますので、お仕事でお疲れのときでも大丈夫ですよ。また、揚げ物を敬遠される方も多いのですが、炒め物より油は飛び散らないし、少しの油でも十分揚がります。
<材料>(2人分)
鰯 3尾
天ぷら粉 50g
水 60~70cc程度
揚げ油 適宜
塩・酢橘 適宜
<作り方>
1.鰯は真水でよく洗い、キッチン鋏で頭を落とし、肛門まで切れ目を入れて、内臓を出し、さらによく水洗いをする。
2.指で中骨をあたりながら開き、身が骨につかないようにそっとおさえつつ、骨を取る(するっと中骨に腹骨もついて取れる。
3.開いた身を1/2にしてよくペーパーで水気を拭いて、濃い目に溶いた天ぷらの衣につけて揚げる。温度は170度程度で、油の量はフライパンに1.5cm程度でよい。
4.揚げたてに藻塩、酢橘など、好みでふって食す。
<ワンポイントアドバイス>
1.市販のてんぷら粉は表示より水を少なめにするとフリットの衣になります。もしなかったら小麦粉1/4カップ、ビール大さじ2程度、卵白1個分をよくかき混ぜて作ってください。その場合は魚の水気を拭いたら小麦粉か片栗粉を薄くまぶしてから衣に通すとよいでしょう。
2.天ぷらを揚げるときにはねるのは、水分をきっちり拭いていないからです。また使用する油は少なめでよいので、新しい油を使ってください。
3.貝割れ大根やレタス、大葉などを刻んでお皿に敷いたところに、このフリットを乗せればより献立としての栄養バランスが取れます。市販のしそドレッシングなどをかければお手軽です。